そんな事もありますよ。

kro.jpgのサムネール画像



「おはようございます。ティーサーブです。」

いつもの挨拶をして朝礼が終わった。
いつものように装備は揃っている。
いつもように気持ちもつくってある。
いつものように丸の内に向かってサドルにまたがった。



六本木に向かって坂を登る。
昨日の疲れが残ったか、ペダルを引く足が少し重い。
ギアを軽くするか?まさかね。
何ならもっと重くしてやろうか?そんな事を思ったがやめた。
これでも冷静さが売りなんですよ。

六本木を抜けて坂を目一杯のスピードに乗って下ったところで
無線が入った。

「丸の内1から渋谷1」

朝一からまあまあのボリュームじゃないですか。
足慣らしにはちょうどいいか。

溜池を抜けて坂を駆け上がる。
テンションだけで坂を登り、内堀通りを内回り。
桜田門をくぐると四角い山々が朝陽でキラキラ眩しい。

この角度から見る丸の内が一番いい。
朝の空気が余計にいい。夜の眺めもいいんだけど。

細かくギアをつなぎ、ピックアップへ滑り込む。
「おはようございます」
気持ちのいい姉さんだ。
一日の始まりには最高の相手といえた。

ピックアップの無線は簡潔に、軽く息をはいてペダルを回してみる。
さっき感じた疲れは朝の空気に抜けたようだ。

日比谷通りを下ってキンゾウを右折。
溜池を左折しても無線では呼ばれない。
六本木通りをひたすら回し続ける。
大きなアップダウンを経ても、足はバイクと一体になって回った。

いくつか信号待ちをこえて、渋谷2丁目交差を右折。
デリバリー先は聞き覚えがないが、この辺りには覚えがある。

軽く回してギアを変える。
このくらいの重さがちょうどいい。
たぶん他のギアより減ってるんだろな。
そんな事を思ってるうちにビルの前。

間違いないね。
番地とビル名を確認してエレベーターのボタンを押す。
悪くないデリバリーだ。
全てがスムーズで気持ちが良かった。

ドアの前に立って荷物を取り出す。
オーケー。

デリバリーの儀式を全て終えて、携帯電話のボタンを押した。
電話口に女性。
僕が一言。

「先方様、ご移転のようなんですが・・・」


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Photo    by No.974 モンモン 
PhotoModel by No.984 マイク
Text             by No.850 コリヲ






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