HARD ROCKY'S CAFE -2-

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映画「電車男」やメイドカフェでホットな秋葉原の東側に
「台東」というところがあります。

「タイトウ」というツルっとした語感とは裏腹に、
自転車メッセンジャーとしてまだまだ経験の浅いぼくにとっては、
この場所は少々敬遠したくなるような厄介なところです。


T‐サーブではデリバリー先がクライアントから近いところでは小回りのきく自転車で、
遠方はスクーターと役割分担してますが、
台東はちょうどその境目で自転車メッセンジャーがたまに行くところでもあります。
台東はメッセンジャーになりたてのころ、
個人的に大ハマリ(迷子になること)したところで
ただでさえ苦手意識があるのですが少し前にこんなことがありました。


まだまだ厳しい残暑の続くころ、
丸の内でピックアップした書類が台東行きで自分でデリバリーすることになりました。
台東はたまにしか行く機会がなく、
伝票にあるデリバリー先を見ても行ったことのないマンション名で
少し不安を感じながら向かいました。


この辺りは下町の雰囲気で小さな建物が多く、
たいていデリバリー先を見つけるのに時間がかかることが多いのですが、
このときは意外と早く目当ての建物が見つかり
ホッとしたのもつかの間、ここからが大変でした。


着いたのは管理人がいるようなきれいなマンションで
内心「早いとこお届けして、もどろう」と思っていたのですが
部屋番が分からず管理人に尋ねても要領を得ない。
少し嫌な予感を感じながら、伝票にある届け先にある外線番号に電話してみる。


電話に出たのはやたら大きなダミ声の男性で
小心者のぼくは怖気づきながら
あまりの声の大きさに携帯電話を少し耳から離し、手短かに用件を話す。


「メッセンジャーサービスのT‐サーブと申しますが...」言い終わらないうちに
「はぁっ?だれだっ!」といきなり怒鳴り声...に聞こえる...。
   ビビり、ビビり「あっ、いえっ、書類のお届けで参ったのですが...」
「オォッー!」と応えがあるものの通じたのか心もとなく、用件を繰り返すと
「わかったよ!でっ、どっから電話かけんてんだ!」
「で、ですから、マンションの玄関からですぅ...」
「わかった!そこでまってろ!」
「あっ、はい」と応えながら、もう心臓ドキドキ。


しばらくするとマンションの住居口とは違う暗がりのほうからガタゴトと人の気配が。
やっと気づいたのは、このマンションの一階は飲食店の店舗になっていて
その裏口から人が出てこようとしている。


扉が開き「おい!こっちだ!」と呼ぶ声。
しかし、あまりの暗がりに目がなれず周りがよく見えない。
簾になった入り口を越えて近づいていくと、
髪ぼさぼさのアンダーシャツとステテコ姿の大男。
暗がりの中、目だけがこっちを見ている。


クッ食われると思いながらも、意を決して書類をお届けする。
「お前はバイクで来たのか?」
「あっ、いえ、自転車です。」
「はぁ、自転車でここまで来たのか?」とやけに感心されて、
「名前はなんていうんだ?」
「えっ?てぃ...T‐サーブです。」
「違うよ、お前はなんていう名前なんだ?」


そんなの聞いてどうすんだろと思いながら
「な...名前ですか?...×××(ぼくの本名)です...」
「そうかお前は、×××ってのか、お前はすごいなぁ」
といいながら、ガツンと背中を叩かれる。


この人、見た目は強烈だけどいい人だったんだなと気付くものの、
とにかくそそくさ退散しなくてはと、
「で、では...」と逃げるようその場を立ち去る。


まっ、たまにはこんなことがあったりします。

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写真は本文と関係ありません。


Text by No.1225 ロッキー

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