
世界的な食料不足ということで食品が値上がっています。
我が家は二人家族なので、今のところそれほど困っているわけではないのですが、
実際に店頭からバターが消えたりするのをみると不安になりますよね。
そこでいざという時のために、ミニトマト栽培を始めました。
一月ほど前に種まいてほったらかしにしてたのですが、気づいたらついに芽が出てました。
かいわれ大根も同時に始めたんですが、押入れで栽培していたらすっかり忘れてカラカラにしてしました。
かいわれ大根、ごめんなさい。

世界の食糧危機は俺にまかせろ、といわんばかりに目を醒ましたプチトマト。
そんな春の日。
全然、柄じゃないんですが、盟友飛田給の影響で本を読みました。
せっかく読むんだから有名なものを、でも長いと読みきる自信ない。
というわけで選んだのがひときわ薄さが目をひいた、
永井荷風「濹東綺譚(ぼくとうきたん)」
もうずいぶん前のことですが、なぜか下宿に「有名人のお墓をめぐろう!」みたいな本がありまして、
当時することないんでめぐっちゃってた時期がありました。
いえいえ、ほんのちょっとだけですよ、ほんとに。
メジャーどころでいうと池袋の雑司ヶ谷霊園。
ここの墓地は、なんといいますか、質も量も充実してまして。
事務所に行くと有名人のお墓の場所が分かる一覧がもらえます。
但し、一日ではまわりきれません。
あっ、そういえば田舎から両親が遊びに来た時、唯一案内したのもこの霊園でした...。
で、永井荷風のお墓もここにあります。
家族のを含めて確か3、4基のとてもシンプルなのがすらっと並んでた気がします。
そしてひときわ印象的だったのが、敷地内にあったさるすべりの木。
マイ・フェイバリットランキング・ベスト3に入る、さるすべりとシンプル配置のお墓。
「この構成は格別しみるなーっ!」とじっとたたずんでいたのを思い出します。
そして、そんな荷風の「濹東綺譚」
荷風は明治大正昭和にわたって活躍した文人ですが、
一貫しているのは江戸時代への熱い気持ち。
なので開化以来、欧米化に走り続ける日本をみて、嘆きとため息ばかり。
いてもたってもいられず、消えゆく江戸時代のかけらを探しまわって街をうろつくんですが、
気が晴れるどころかますます滅入ることばかり。
荷風の視点は生活と密着しているので、些細なことが多い。
例えば、ガラガラッと戸をあけて古本屋に入る。
奥の主が「いらっしゃい」といいながら手元の本からこちらに目線を移す、そのしぐさに江戸時代を感じ「あぁ、昔の人は皆こんな所作だったな」と懐かしんだりしてる。
身のまわりの小さな違和感から日本の将来を憂う荷風。
永井荷風、カフウ...、えっ、カチョウフウゲツ!?
えぇーい、こうなったらなにがなんでもカフウだ。
この春はとことんカフウでいこう!
というわけで荷風ゆかりの地、三ノ輪に行ってきました。

日比谷線三ノ輪駅下車。意外と交通量多い昭和通り。

荷風もよく立ち寄った浄閑寺(じょうかんじ)。
「投げ込み寺」の異名を持つこのお寺、
新吉原に近いためしばしば遊女が置き去りにされたという
遊女たちの哀しい境遇を荷風は江戸時代と重ね合わせたのでしょうか。

「今の世のわかき人々~」ではじまる荷風の歌碑。
若者たちよ、わたしにこの時代のことを聞くのはやめてくれ、
どのみち愚痴しかでないから...といったことがえんえん書かれてる。
荷風さん、そんなんゆってもお墓で寝とったら聞きようないやん、とついお郷なまりで思った...
荷風さん、言葉が過ぎました。...すみません。

荷風もうろついた三ノ輪界隈

樋口一葉記念館に立ち寄り、向かいの公園で一休み。
貧苦にあえぎながら下町庶民の生活を描いた一葉。
そんなイメージとはかけ離れた立派な記念館でした。
一葉がみたらたまげるだろうな。

おー、滑り台に人力車が・・・
さすが下町!

立ち寄った三ノ輪橋商店街。

「砂場」で天ぷらそば+冷酒。
くっー、うまい!
生き極楽(?)とはまさにこのこと。

最後の路面電車、荒川線で無事帰宅。
Text&Photo by No.1225 ロッキー