HARD ROCKY'S CAFE −25−

rky.JPGのサムネール画像




「どっひゃー!」

「えらいこっちゃ!」

あまりのことに、朝から血の気がひいた。


部屋奥の2段目の水槽で飼育していた白い魚が力なく浮いているではないか。

俄かにこの事実を受け入れることができず、水槽の上下左右から念入りに確認する。

「起きろ!起きろ!」と念じるが効果ない。

間違いない、死んでいる。

観念したかのように一瞬無表情になり、天井を見上げ大きく深呼吸する。

が、下を向いた途端、まずいまずいと急に焦りがこみ上げてきて、
今までY婦人から受けてきたトラウマがフラッシュバックしパニックになりかけるが
何とか自制し仰向けになって呼吸を整える。



どれくらい時間がたっただろうか、水を飲むと少し落ち着いた。

婦人は一匹ずつ写真つきのプロフィールのようなものをファイルにしていて、この魚を調べてみる。

細かい几帳面な字で書かれたノートを開き項目を追っていくとそれらしい箇所があった。

そこには、「グッピー」...「レッドアイ」...「アルビノ」...「作出難度5」...などの語句が
並び素人目にも貴重なものであることがわかる。

別冊にY婦人が長年掛け合わせてきた系譜があり、死んでしまったのは両親の名前に因んで「ホワイトサンダー」という名だったらしい。

「やっちゃった」感はますます募る。

とりあえず手ですくう。

生きてる時は透明に近いホワイトの尾がひらひらして、泳ぎ方もなかなか優美だったが、すでに面影はない。

目だけが赤く、手の上でぐったりとしている。

もちろんこの重い事実を婦人に報告する度胸をYは持ち合わせていない。

あまり愛情こめて育てたわけではないが、さすがに死んでしまうと心が痛む。

手厚く葬ってやらなくては。

しかも悟られずに。

幸いまだ誰も起きていないようだ。

「ホワイトサンダー」を手に乗せたまま、忍び足で階段を下り、
居間からガラス戸を静かにあけて、裏庭に出る。

実はYが魚を死なせてしまったのは今回が初めてではない。

最初死なせてしまった時、お隣の庭から手ごろな石ころを失敬してきて(Y宅とお隣の庭の境界ははっきりしていない)、
それを墓石としたが、何もない裏庭にぽつんと石ころがあるのは不自然なので
カモフラージュのために余分に2つ転がしておいた。

そして今回が3回目なので石の数とちょうどになった。

 

土に埋め改めて石を置く。

手をあわせて祈る。



中に戻り、キッチンのエスプレッソマシーン(娘のものでYの使用は禁じられている)
で得意のキャラメルマキアートをつくり一息つく。

マグカップ片手に居間から裏庭を眺めていると、朝からばたばたしたのが夢のような気がしてきた。

マキアートの香りの中でホッと落ち着いた。



週末のY
r24_1.jpg

秋の旧古河邸。

春にもきたが、そこは暇をもてあますY。

気が向けばどこにでもいく。

今回は屋敷の中まで見学。

入園料だけで入れるのかと思ったら、別途525円かかるという。

一瞬ためらったがいまさらやめるのもかっこ悪いので払ってしぶしぶ入館。

この館はコンドル最晩年の設計。

日本文化に溶け込んだコンドルが館内至るところに日本的な細かい心遣いがあり、
外観からは想像できないが二階は和室中心。

実際に古河家の住まいでもあり、所々に生活感も漂う。

r25_2.JPG
r25_3.JPG

r25_6.JPG
秋バラ

春は熱気の中で咲き誇るという感じだったが、秋はまたおもむきが違う。

残り少なくなってきた陽気を惜しむかのように可憐。

r25_5.JPG

影りゆく古河邸にYもかげる。

r25_7.JPG
r25_8.JPG

日本庭園へ

r25_9.JPG

...

r25_10.JPG

獣発見!

r25_11.JPG

閉演時間間近。

名残惜しさというよりは、帰りたくない気持ちで屋敷を振り返る。

一階の喫茶室に灯がともる。

r25_12.JPG

とんかつの名店「とんき」へ。

国分寺で苦学してたころ、仕送りのたびに地元の「とんき」通ったY。

r25_13.JPG

ここのとんかつも違わぬうまさ。

肉厚なのにあっさり。

キャベツもシャキシャキしてうまい。



翌日
r25_14.JPG

日比谷へ。

r25_15.JPG

山梨ワインのヌーボー祭り。

噴水を取り囲むようにワイン好きで大盛り上がり。

r25_16.JPG
一緒に飲む人がいるわけでもなく、木陰でチビチビ。

r25_18.JPG

一人で飲んでてもわびしいので月島のもんじゃ屋へ。

ハイボール片手に日本シリーズの経過を気にするY。

r25_19.JPG
r25_20.JPG

一人でもんじゃ食べてなにが悪い!

誰も聞いてくれないので心の中でそっとつぶやく。

r25_21.JPG

暇なので動く歩道に乗って晴海へ。

いってみたらアートのイベントしてる。

全部バラの花びらで造ったという絵の絨毯。

r25_22.JPG

募金すると大型ジャッキで上から見渡せる。

r25_23.JPG

上からの眺めは、壮観!

r25_24.JPG

さーて、これからどこに行こーかなぁ。


|

ライター